ツイッター上で見かけたぬまがさワタリさんのイラストの、みごとにデフォルメされた可愛らしいタッチと、溢れるユーモアのセンスに惹かれて、手に取った1冊です。
「図解 なんかへんな生きもの」というタイトルの通り、ちょっとかわった不思議な生きものの世界を、ユーモアあふれるイラストで描いている1冊です。
動物の世界には、本当に変わった生きものがいて、見ていて飽きないですよね。「なんかへんな生きもの」の魅力を考えてみました。
「図解 なんかへんな生きもの」
絵・文:ぬまがさワタリ
光文社 2017年
図鑑としての面白さ
本の目次は「そらの生きもの」「みずの生きもの」「身近な生きもの」「こわい(?)生きもの」「へんなむし」といった分類になっていて、それぞれ見開き2頁で1つの生きものが紹介されています。
モズやカワセミといった生きものは私も知っていましたが、ニュージーランドのカカポという鳥ははじめて知りました。
マオリ語で「夜のオウム」を意味するカカポ。のんびりしたかわいい鳥ですが、絶滅の危機にあるそうです。
カカポの体からはちょっと甘い香りがすることや、人懐っこいこと、他の動物から狙われやすかったわけなどがイラスト・漫画で描かれています。
ちょっとした小ネタや雑学、豆知識が詰まっていて読んでいておもわずクスッと笑ってしまう内容です。
珍しい生きものの生態や暮らしをユーモラスに描いてあって、楽しい図鑑としての面白さがあります。
イラスト&コメディの面白さ
見開き2頁でひとつの生きものを紹介しているので、見やすい構成になっています。2頁と限りがあるスペース内に詰め込めるだけの情報を詰め込んでいるので、ぎゅっと絞った感じはあります。
小ネタやツッコミがマンガの吹き出しの形でいれてあるなど、見やすさに工夫があるのでごちゃごちゃした感じがあんまりしないです。
色使いは意外に控えめな色合いで、派手になり過ぎない色合いとなっています。
また、ぬまがさワタリさんは、アニメや映画にも大変詳しく、ちょっとしたパロディ要素もたくさん入っています。わたしが知らなくて見逃しているネタもたくさんあるんだろうな。
「おまえは今まで食ったスシの数を覚えているのか?」
「ふるえるぞハート 燃えつきるほどヒート!!」
「図解 なんかへんな生きもの」P40、41
このあたりは「ジョジョの奇妙な冒険」ですね。他にも「シンゴジラ」や「新世紀エヴァンゲリオン」など人気作からのパロディも多いので、ファンなら見つけたときには楽しさが増すようになっています。
動物愛にあふれていて面白い
「図解 なんかへんな生きもの」では可愛い生きものばかりが載っているわけではなく、なかにはなじみのない、ちょっと気持ちの悪い生き物もいます。かわいい生きものばかりでなく、奇妙な生きものも入っているから、より面白い。
たとえばウツボ(「図解 なんかへんな生きもの」 P74・75)。
ウツボの体内には、2つ目の顎といっていい仕組みがあって、捉えた獲物を口の中に引っ張り込んで逃がさないようになっているなど、特徴をしっかり描いて見せてくれます。
その一方で、必ずしも怖いだけの生きものではないことも描かれています。エビに掃除をしてもらうなど、意外に控えめなウツボ。
限られたスペース内に、生きものの生態やエサ、天敵、名前の由来などいろんな情報がコンパクトにまとまっています。
生きものの不思議さや面白さへの尽きない興味が全体にあふれています。
まとめ
ひとつの生きものにまつわる、いろんな知識を惜しみなく描いて見せてくれるところに、ぬまがさワタリワールドの面白さがあるんだな、と思いました。
巻末の参考資料一覧も親切です。膨大な情報を噛みくだき、楽しく伝えてくれる、そんな一冊です。
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