ムーミン・コミックス1「黄金のしっぽ」皮肉の効いた面白さ!

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気分転換に・・・と思って手にとったムーミン・コミックスがほのぼの、面白かったのでご紹介しておきます。

ムーミンには小説、絵本、コミックス、といろいろあるのですが、今回手にとったのは、筑摩書房のムーミン・コミックスです。

ムーミン・コミックス第1巻 「黄金のしっぽ」

著者:トーベ・ヤンソン/ラルス・ヤンソン

翻訳:冨原 眞弓

出版社:筑摩書房

発行年:2000年

ムーミン・コミックスは新聞のコミックがベース

姉であるトーベ・ヤンソンと弟ラルス・ヤンソンによる漫画がロンドン「イヴニング・ニューズ」に掲載されたのは1954年のことでした。

以来、ムーミンはずっと愛される作品として世界中で親しまれています。

日本人がムーミンを知ったのは、昔のテレビアニメの影響が大きいでしょうね。私も見ていました。調べてみたら思っていたよりも何度もアニメ化されていて、作品ごとのテイストも違います。

同時期に放映されている日本のアニメとは、全く違う世界がムーミンの世界にはありました。なんだか不思議な世界だった、と記憶しています。

見た目もかわいい!ムーミン・コミックス

久しぶりに読み返したムーミン・コミックスはユーモアにあふれていて、ムーミンファンなら一度は読んでおきたい作品だと思いました。

ムーミン・コミックス(筑摩書房は全14作品になっています。今回取り上げるのは、第1巻の「黄金のしっぽ」です。

正方形にちかいフォルムのコミックスになっていて、カバーを外しても可愛いです。


 

「黄金のしっぽ」では、しっぽのふさふさした毛が抜けてきていることが不安なムーミン。ある薬を飲んだことによってしっぽが生えてきて、さらに金色のふさふさになります。

黄金のしっぽのおかげで新聞のインタビューを受けたり、大量のファンレターをもらったりして有頂天になっているムーミンですが、有名であるが故の騒動にだんだん嫌気がさして・・・・といったあらすじになっています。

のんびりしたムーミン谷のキャラには、有名人なんていう立場は合っていないのですが、ドタバタした騒動がコミカルで楽しいお話です。

ムーミン世界のキャラのバランスと描きかたが秀逸

有頂天になっているムーミンや黄金のしっぽに夢中になっているファンに対して、みなさんご存知、スナフキンのクールなセリフが印象的です。

たとえばこんな感じです。

「くりかえすが気をつけろ 名声というのは危険な代物だぜ」
トーベ・ヤンソン/ラルス・ヤンソン、翻訳:冨原 眞弓、
ムーミン・コミックス第1巻「黄金のしっぽ」、筑摩書房、2000年、P8

スナフキンはとても示唆に富んだセリフを言うキャラとして印象深いのですが、原作でも要所要所でスパイスの効いたセリフを言ってくれます。

有名になって注目を浴びる存在になったムーミンの傍に、「マネジャー」というキャラが出てきます。

この「マネジャー」というキャラ、漫画のコマのなかで胴体は見えるのですが、顔が出てこないあたりがポイントです。

他のキャラは全身が描かれることも多いなか、「マネジャー」だけかえって余計にうさんくさい感じが出ていて、キャラの見せ方の工夫も面白い点です。

ちょっと皮肉のあるムーミン・コミックスの世界

ふだんはのんびりした雰囲気のムーミン一家と、急に有名になるといった騒動のミスマッチがトラブルを起こすわけですが、そのミスマッチぶりが奇妙で思わずクスクス笑ってしまいます。

ちょっと珍しいことが起こるとすぐに大騒ぎする世間とか、有名になったことにうかれてしまう心理とか、いつの時代でもあり得そうな出来事にちょっとアイロニーを感じさせつつ、楽しい作品に仕上がっています。

むかし見ていたアニメの原型はこんな世界だったんだなぁ、としみじみ味わいながら読んでしまいました。

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