私がアードマン・アニメーションズの名を知った作品が「ウォレスとグルミット」でした。「危機一髪」は、シリーズ3作目にあたる、30分間のクレイアニメーションです。
主人公は発明家のウォレス、そして飼い犬でありよき友人でもあるグルミット。アードマン作品では、人間よりも動物のほうが賢いのか、グルミットも忠実であり、機転が利きます。
実はこの作品のなかで登場した子羊こそ、のちに別の作品となっていくひつじのショーンです。
久しぶりに見て、実はこんな前の作品からキャラ同士は繋がっていたんだな、と懐かしくなりました。
・動物が出てくるアニメが好き!
・「ひつじのショーン」の原点が知りたい!
っていう人におすすめです。
「ウォレスとグルミット 危機一髪」 原題『A Close Shave』
監督:ニック・パーク
出演:ピーター・サリス/アン・リード
公開年:1995年
製作国:イギリス
「ウォレスとグルミット 危機一髪」のあらすじ
30分とはいえ、キャラの生き生きとした動きや表情、ドラマが楽しい一作です。
新聞紙上では羊泥棒の話題が載っている日々。ある晩、トラックから逃げだしてきた子羊・ショーンがウォレス宅に迷い込む。
発明家を自称するウォレスは、窓ふきサービスを営んでいる。顧客である毛糸屋の主人・ウェンドレンに恋をして舞い上がってしまう。しかし、どうもウェンドレンには秘密がある模様・・・。
ウェンドレンの飼い犬・プレストンの作戦にひっかかったグルミットは、羊泥棒のぬれぎぬをきせられてしまう。なんとかしてグルミットを助け出そうするウォレスと羊たち。
話としては無実のグルミットを助け出す脱獄ものの要素あり、ウォレスの恋あり、といった内容です。
すべてのパーツがはまった30分アニメ!
ウォレスは楽天的なほんわかした性格。グルミットはしっかり者。このバランスがとてもいいチームワークを生んでいます。
仕事の出勤のためにサイドカーつき二輪車に乗り込むシーンは、日本のメカものアニメの変身シーンみたいな大仰な感じがしつつ、ウォレスの発明家としてのこだわりの強さが出ています。
今回はとりわけ、ウォレスに好きな女性ができて、夢中になっているので、災難はすべてグルミットのところへ・・・。グルミットは悪役・プレストンの策にひっかかって、ぬれぎぬを着せられてしまう。
ウォレスの作るメカはよく故障するけど、話の要所で重要な働きをしています。今作では「羊毛を洗って乾燥させてからセーターまで編んでくれるマシン」。大げさなマシンだな、と思ってみていたら、ちゃんとラストの展開で大きな存在感を見せてくれます。
奇妙なメカやマシンの造形や仕組みの楽しさが、「ウォレスとグルミット」シリーズの魅力のひとつです。
今作の魅力のひとつはテンポの良さにあります。グルミットを牢屋から逃がすための策略など、ぽんぽんと進んで、思わず笑ってしまうシーンです。
のちにスピンオフ作品となる、ひつじのショーンがこのころからやんちゃで好奇心旺盛、機転の利くひつじだったんだな、と再確認できます。
グルミットに助けてもらうばかりでなく、プレストンを倒すべく機転をきかせるショーン。小さな羊ですが、食欲旺盛であちこちかじっていく様も面白い。
敵役・プレストンを追いかけるアクションシーンでは、グルミットが飛行機に乗って空中を飛ぶなど、生き生きした動きになっています。
笑ったのは、飛行機から打ち出されるオートミールの爆弾。冒頭の朝食のシーンから、ちゃんと伏線をはっておいて、後で生きてくるあたりが巧い。アクションシーンといっても過激ではなく、楽しく笑える要素が全編に散りばめられています。
映画「ひつじのショーン」のレビューもどうぞ。

まとめ:年月がたっても色あせない「ウォレスとグルミット」
「ウォレスとグルミット 危機一髪」は30分程度とはいえ、必要な要素が無駄なく入っていて、見ごたえのある1作です。
製作されてからすでに長い年月が経っていますが、いつ見ても痛快な作品です。親子で一緒に見るのにもいいですね。
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