「美女と野獣」アニメと実写をくらべてレビュー!

秋のティータイム アニメーション
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もともとは18世紀のフランスの民話だった「美女と野獣」。

1991年のディズニーアニメではミュージカルとなっていました。久しぶりに見てみたら、すごく感動的で美しい作品でした。

今回は、アニメーション映画をメインに、リメイクされた実写(2017)と比較しつつ、レビューしてみます。

*私が今回、鑑賞したのはDVD収録のスペシャルエディションです。

「美女と野獣」(1991)  *アニメーション版

監督:ゲーリー・トゥルースデイル/カーク・ワイズ

出演:ペイジ・オハラ/ロビー・ベンソン/リチャード・ホワイト

「美女と野獣」(2017) *実写版

監督:ビル・コンドン

出演:エマ・ワトソン/ダン・スティーヴンス/ルーク・エヴァンス

「美女と野獣」キャラごとの魅力について

「美女と野獣」(1991)のころは、まだまだディズニーの伝統的な絵柄を踏襲していたんだなぁ、となんだか懐かしくなりました。

アニメ版の「美女と野獣」ではキャラの配置やバランスがとてもいい。ベル、野獣、ガストンの三角関係、ベルとモーリスの親子関係、お城の家来たちの関係など、それぞれの関係が分かりやすく、ブレもなくまとまっています。

それぞれのキャラごとによかった点、印象に残った点などを書いてみます。

薔薇と鍵

ベル

・アニメ版
髪のなびきとか、ドレスの裾を直す仕草とか、細やかな描写まで美しい。父親を助けるために自ら馬を駆って、城までたどり着くなど、能動的なヒロインとしてのイメージ。

ケガをした野獣を手当てするときに、言い返して反論するなど、単なる大人しいヒロインとは違う描き方になっていました。

当時の社会状況を考えると、読書家で本好き=変わり者という扱いになっていて、「周囲から浮いた存在」という冒頭は、野獣という「社会から忘れられた存在」と出会う相手、という役割を持たせるためにも必要だったのでしょう。

・実写版
エマ・ワトソンのキャスティングはイメージに合っていて、よかったと思っています。

ただ、ベルの母親のエピソードは、なくても良かったと思います。出したはいいけど、ちょっと中途半端に終わってしまった感があります。

野獣

・アニメ版
最初は4本脚でぐるぐる床を這うように歩いていたけど、礼儀正しく振舞うように、と家来から言われて2本脚で歩くようになったり、服装がきれいになってきたり、ビジュアルの変化もいい。

最初はマントに身を隠し、自らの外見を恥じていたのに、だんだんと明るい場所に出てきたり、きれいな服をまとったり、とベルとの関係が進むにつれて見た目も変わっていく点が興味深い。

ベルが好きな「本」を図書館ごとプレゼントするあたり、ガストンとは好対照です。

ダンスをしているときのちょっとぎこちない表情とか、ベルを自由にするときの苦悩とか、だんだんと野獣のままでも十分魅力的なキャラに見えてきます。

父親のもとに行きたがっているベルを自由にしたときの「愛しているからだ」という短いセリフがとても印象的で、私はこのシーン、アニメ版の方が好きだなぁ。

・実写版
実写ではシェイクスピアの本をきっかけに仲が深まったけど、アニメ版では読書のための読み書きもおぼつかないシーンがありました。

実写だと、王子様ならではの教養があるといった感じでした。これもいいのですが観ようによっては王族のように高貴な人が選ばれるんだな、と見える向きもあります。

アニメ版の野獣のように、文字を読むのも一苦労といった感じでも、ベルに教わりながらたどたどしく読んでいく様子が一途でいいと思います。

ガストン

・アニメ版
アニメ版のほうが、ガストンというキャラの嫌味なところや粗野な性格が、たっぷり出ていたと思います。

まだつき合ってもいないベルとの結婚式を勝手に準備してしまうあたり、なんと強引でヤバい人なのか・・・・・。

ベルが大事にしている本を地面に投げつけて汚すなど、相手が大事にしているものをまるで尊重しないあたり、傲慢で粗野な性格が強調されていました。

・実写版
実写のガストンは、よりかっこよさがあったと思います。ルーク・エヴァンスは、アニメ版のキャラの特徴をしっかりと反映したキャスティングでした。

家来たち

・アニメ版
王子に仕えていた家来たちがそれぞれ、魔法によって燭台や時計の姿に変えられています。可愛らしくキャラ化されていてディズニーらしい造形だと思います。

掛け合いが面白いのが、燭台になっているルミエールと、時計になっているコグスワースです。普段は掛け合いやっていても、ピンチになったら助けてくれるあたり、いいコンビになっています。

世話好きのポット夫人と、その息子であるチップもとても魅力的なキャラです。チップはアニメ版のほうが活躍しています。勝手にベルの家までついてきて窮地から助けてくれるなど、行動力や機転があって、とてもいい役割です。

「美女と野獣」という作品の魅力は、家来たちサブキャラの造形にもあったと思います。

・実写版
実写では魔法の薔薇の花が散ったあと、家来たちはそれぞれ壊れていってしまいます。そこから王子の魔法がとけ、さらに家来たちの魔法もとけて人間に戻ります。

実写版のほうが、家来たちが一度滅んでから復活するので、しんみりしてから喜びを味わい、ハッピーエンドに向かうという感動を味わいます。この点は実写のほうがよかったな。

「美女と野獣」アニメ版のいいところ・イマイチなところ

花とキャンドル

いい点

スペシャルエディションでも90分程度とコンパクト

ベルというキャラに「周囲から浮いた存在」という悩みを与えている

野獣が魅力的なキャラになっていて、不器用ながらも応援したくなる

ガストンの粗野な面が分かりやすく強調されている

家具に変えられた家来たちのバランスがよく、チームプレイがいい

イマイチな点

ガストンと悪だくみする医師が「病院に連行する」といいながら、結局、ベルの家の半地下の実験室に閉じ込めている・・・・ま、欠点はあんまり無いんですけどね。

「美女と野獣」実写版のいいところ・イマイチなところ

いい点

エマ・ワトソンが美しい

アニメ版のイメージを大切にしつつ、実写化している

家来たちが一度、動きが止まってから魔法が解けたことで復活した点は感動的

イマイチな点

ベルの母親が病死したエピソードを出したはいいが、掘り下げがほぼない

生身の俳優さんたちが演じることで、村人の嫌みな感じが変に強調されている

まとめ:アニメ版のほうが好き!

チョコレートとリボン

アニメーションと実写、両方の「美女と野獣」を見てみて、わたしはアニメーションの方が好きですね。

アニメ版はスペシャルエディションでも90分程度とコンパクトですが、むだがなく、筋が一貫しています。ヒロイン像、野獣のビジュアル、音楽などすべてのバランスがいいんです。

実写は91年のアニメーションをベースにした実写なので、もとのアニメーションを超えるのはちょっと難しかったのではないかな

実写では新しいエピソードを追加したにもかかわらず、追加した部分をあんまり生かせていなかったのではないかな、と思います。エマ・ワトソンや俳優さんのファンにとっては、実写も魅力的ですけどね。

どちらも原作を踏まえつつ、美しいおとぎ話に仕上げているので、ロマンチックな映画が好きな方は、一度は見ておくといいかな、と思います。

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