「ちはやふる -上の句-」もっとも成長を遂げた机くんに注目!

和柄〈熨斗目) ドラマ
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人気漫画「ちはやふる」を映画化したシリーズのうちの第1作です。ちなみに、私はまだ漫画、読んでいません。(これから読みます・・)

ただ、原作は置いたとしても、青春映画のひとつとして、よくできている作品だと思います。・・・見ていて改めて感じたのが、「私はキラキラの青春ものが苦手だ」ということです。

まぶしいほどの青春感が苦手な私にとって、とても印象深いキャラが、眼鏡をかけて机にかじりついていた通称・机くんです。今回は、机くんをメインにレビューしてみます。

青春映画が苦手な人でも「ちはやふる -上の句-」は大丈夫だよ!!

「ちはやふる -上の句-」

監督:小泉徳宏

出演:広瀬すず/野村周平/真剣佑/上白石萌音/矢本悠馬/森永悠希

製作国:日本

公開年:2016年

 

ネタバレ有りなので、まだ見ていない人はご注意ください。

机くんの描き方がストーリーのポイントになっている

教室

最初はかるたにやる気のなかった机くん

教室内では浮いた存在だった机くん。クラスにいますよね、こういう人。「ちはやふる -上の句-」は、机くんの物語でもあるんです。

新規の部を作るには、少なくとも5人のメンバーが必要なために、主人公の幼馴染である太一がやや仕方なく誘ったのが、机くんでした。

最初は「競技かるたが強い人は頭がいい」という太一のセリフに興味を示し、部活動に入らないといけないというルールのために仕方なく入部した机くん。

「辞めたくなったらいつでも辞めますから」と断っている通り、部活動の途中でも自分の帰る時刻がきたら、さっさと帰るマイペースなキャラです。

「いつでも辞める」という態度を口で言うだけではなく、入部届と退部届とを同時に提出するというアクションで見せているところに、シーンとキャラの作り方の上手さが光ります。

冷めているサブキャラを動かすのは、ベタですが、主人公である千早の熱意です。

「私は机くんじゃなきゃヤダ、私たちには机くんしかいない!」といった千早のセリフでちょっと気持ちが揺れた机くんが合宿に参加してくれるあたり、最初の変化です。

競技かるた部のメンバーに活を入れる机くん

机くんはすごく冷めたキャラですが、競技かるたは未経験。当然、実力のある人にはかないません。

夏の合宿で、主人公の千早が隣でぼろ負けしたときに、つらそうな表情で観ていた机くん。

その後、かるたアプリを作って、落ち込んでいる千早や太一に活を入れる。このシーンが、「ちはやふる -上の句-」のターニングポイント(話の折り返し地点)です。

かるたに前向きな姿勢を見せなかった机くんが、初めは懐疑的だった部員たちにチームの一員として受け入れられます。

同時に、机くんの得意な情報処理を生かした貢献によってかるた部全体がひとつにまとまるという、大きな意味を持つシーンです。

「ちはやふる -上の句-」での百人一首の使いかた

映画のなかで、百人一首の和歌をうまくエピソードと絡めている点も魅力です。

もろともにあはれと思へやまざくら花よりほかに知る人もなし  行尊/金葉集

(私がおまえを思う心と)一緒に(おまえも私を)しみじみと懐かしく思ってくれ、ヤマザクラよ。(この山奥で孤独な私は)花のほかに知り合いもいないのだ。

ベネッセ全訳古語辞典改訂版/2007年/ベネッセコーポレーション/1247頁

百人一首では66番、もとは「金葉集」の行尊の歌です。

出家した身である行尊が、山桜によびかけることで、孤独な心情を訴えている歌です。この歌では、人と花の気持ちの結びつきが詠まれています。

相手は花(という形を取っている)であっても、だれか理解してくれる相手を願う気持ちが、しみじみ伝わる歌です。大会にむけて練習している最中、この歌をめぐって解釈がわかれます。

「寂しげな歌ですね」という、かるた部のメンバー奏ちゃんと、「あなたがいれば、私はがんばれる。もっと、もっと、深くわかりあいたいって」という千早とでは、受け止め方がまったくちがいます。

同じ歌でも、人によってとらえ方は変わるもの。千早のとらえ方はかなりポジティブな考え方で、聞いていてちょっと驚くくらいです。

このやり取りが、最後の決勝戦で生きてくる使い方も巧みです。なかなか勝てないせいで、やる気をなくしかけていた机くんですが、自分のところに飛んできた札が、「もろともに」の歌です。

かたくなだった机くんが、おもわず嗚咽してからやっと試合と向き合うあたり、感動を盛り上げるプロセスが巧みです。ずっと一人でなんでもやってきて、他人との接点が少なかった机くん。

本当は誰かと関わりたかったかもしれないけど、うまく方法やきっかけが分からなかったのではないでしょうか。だれもが千早みたいにポジティブで前向きでいられるとは限らないのです。

最初は仕方なくであったとしても、実際に競技しているうちに、チームでゲームをする楽しさや難しさを実感していくさまが、人づきあいが苦手な机くんを通して実感できると思うのです。

まとめ

青春映画がやや苦手な私にとっては、机くんというキャラのおかげで、「ちはやふる -上の句-」の世界に入り込めました。もちろん、他のキャラも魅力的なので、どの人物にも思い入れできそうです。

ひとりひとりのキャラを大事に描いている点も好感が持てます。観ている間に、なにかに夢中になれる時間を思い出すことができます!

「ちはやふる -下の句-」のレビュー!

「ちはやふる -結び-」のレビュー!

いっしょにご覧ください。よろしくお願いします。

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