先日「インクレディブル・ファミリー」を観てきました。本当は字幕で観たかったのですが、吹き替えも楽しかったですよ。
(ネタバレがあるので、ご注意くださいね!)
「インクレディブル・ファミリー」
監督:ブラッド・バード
出演:クレイグ・T・ネルソン/ホリー・ハンター/サラ・ヴォーウェル/ハック・ミルナー/イーライ・フシール
公開年:2018年
製作国:アメリカ
冒頭からアクションシーン!
てっきり前作「Mr.インクレディブル」からある程度の時間がたった、日常生活から始まるのかな、と私は思っていました。
でも前作「Mr.インクレディブル」のラストで、悪役・アンダーマイナーが登場したシーンの続きから、いきなり始まりました。これはいい意味で予想を裏切られました。
映画館に行く前に、「Mr.インクレディブル」を見直しておくと、前作の高揚感そのままに作品の世界に入ることができますよ。
冒頭のトニーが取り調べを受けているシーンは「Mr.インクレディブル」のDVDに収録されている「ジャック・ジャック・アタック」を見ていると、より分かりやすくなりますね。
イラスティガールをメインにした新鮮さ
前作では、かつてのスーパーヒーローがヒーロー活動を禁止されている窮屈な世界という舞台が作られていました。
シンドロームの野望を破ったあとは、てっきりヒーローとしての活動が認められているかのように思っていたのですが、相変わらずヒーローとしての活動は法律に違反する、という枠組みは変わっていない世界のままでした。
いや、もう政府の援助を期待できない以上、もっと窮屈な状況になっているとも言えます。
仕事がない、ヒーローとしての活動もダメ・・・。果たして今後の生活をどうするのか、悩むボブとヘレン。
今度はヘレンが働きに出ようか、なんて言っているときに、思わぬきっかけがやってきます。ヒーローを復活させたい、と思っている富豪からのオファーという形で。
ヘレンはヒーローとしての活動への誇りも喜びもあるけど、一方で子供にまだまだ手がかかることもあって、すぐには決断できない。ボブが家事を引き受けることで、やっとヘレンはヒーローとしての活動を行うことを決意します。
これにより、今回は妻ヘレンは外で働いて活躍、夫ボブは家で家事をする、という展開となり、前作とは男女の役割が逆転します。この点、時代の流れも感じますね。
仮にまたボブがなにか内緒でヒーローとしての活動を行う、となると前作と同じパターンになってしまい、新鮮さがなくなります。
ヘレン=イラスティガールを活躍させることで、新鮮さを生み出し、時代にもあっている描写となっています。
イラスティ・ガールと、今作の主要キャラである富豪兄妹の妹イヴリンの対立という女性同士の対立も、前作のMr.インクレディブル対シンドロームの構図と対になっていて、また違った闘いの面白さがありました。
家事に励む不器用なスーパーヒーロー
優秀で注目を集める妻の姿に嫉妬を感じながらも、慣れない家事に奮闘するボブ。
いままでヘレンに任せっぱなしだった子育てをいざやってみて、その大変さにフラフラになるあたり、「そう、こうなるよね・・・」っていう感じがよく出ています。
ダッシュの算数を教えるために夜中にこっそり教科書を開いたり、ヴァイオレットの恋をかなえるために工夫してみたり・・・。
本作で要になるポイントは、末っ子のジャック・ジャックの能力が明らかになってくることです。
ジャック・ジャックは複数の能力を持っていて、どの能力が出てくるのか予想ができないことで、とても大きな不安定要因となっています。
ジャック・ジャックという予想できない要因が加わったことで、周りが振り回されることになり、それもまた家族の成長かな、という感じです。
慣れないながらに奮闘するボブの姿は、笑いを誘うと同時に、いま子育てに奮闘している方の共感を呼ぶはずです。
不器用でも頑張っている父親の姿を、みっともない姿も含めて、子供たちはちゃんと見ていてくれる。
本作ではボブとヘレンの役割を入れ替えたことで、家族という小さなチームの意味がお互いにより理解できるようになったわけで、うまいテーマの提示だと思います。
特に、思春期のヴァイオレットが、ボブを父親として認めるシーンは、家庭パートのクライマックスとして、素晴らしい出来になっています。
ただ、これらの家庭パートが、ボブのスーパーパワーにあまり関連することなく進んでしまい、いわゆる普通の父親育児作品以上の展開にはなっていかないのが、不満と言えば不満かな・・・。
前作の、うっかり車を破壊するシーンのように、盛大に微笑ましくやらかしてほしかった。特に、今作の家庭パートは、「分不相応な大豪邸」という絶妙の舞台設定なのだから。
アクションシーンは見ごたえ十分!・・ちょっとだけ不満もあり
大人たちが敵によって操られる、という事態になってから、子供たちだけで敵の船に乗りこむという展開もいい。
欲を言えば、敵側になってしまったパパやママと、子供たちの対決という展開があったら、より面白い展開になったかもしれません。
スーパーヒーローとしての両親の圧倒的力量を見せつつ、絶体絶命のピンチに陥る子供たちを描いた上で、満を持して催眠が解けるパパとママ。
そこからの、ファミリーそろってのスーパーパワー全開の大逆転という展開。カタルシスが倍増しそうです。
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アクションシーンの最大の見せ場が、映画前半に置かれる、イラスティガールがバイクで疾走するシーンとなっていて、ものすごく巧みです。
一方で、最後のアクションシーンは、そんなに大きな見せ場になっているわけでもない。
前作のように、家族とフロゾンの共同で最大の敵=ボスを倒す、という展開のほうがいいかな、とも思います。
(よくできている作品にはあえて難点あげてみたくなるもので・・・・。)
まとめ
「インクレディブルファミリー」は「Mr.インクレディブル」で築いた世界を生かしながら、また新しい魅力を描いているので、とても楽しめる続編になっています。
話題になっているので、まだまだヒットしそうですね。

前作「Mr.インクレディブル」のレビューもどうぞ。
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