「素晴らしき哉、人生!」クリスマスに見たい幸せな人生のものがたり

白い写真立て ドラマ
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クリスマスにぴったりの映画を続けてレビューしています。

今回のレビューで取り上げるのは、1946年のアメリカ映画である「素晴らしき哉、人生!」です。

クリスマスの定番作品であり、ヒューマニズムにあふれた作品として知られています。

ネタバレを含んでいるので、ご注意ください!

「素晴らしき哉、人生!」  

監督:フランク・キャプラ

出演:ジェームズ・ステュアート/ドナ・リード/ライオネル・バリモア/ヘンリー・トラヴァース

製作国:アメリカ合衆国

公開年:1946年

「素晴らしき哉、人生!」のあらすじ

「素晴らしき哉、人生!」の冒頭は、天使たちの会話で始まります。あるひとりの男性が、人生に絶望している。

主人公はジョージ・ベイリー。父親の家業を継いで、住宅の購入資金を提供する会社を経営しています。

決して自分の望んだ人生ではなかったけど、父親の遺志を継いで、懸命に働くジョージ。もともと友達にも恵まれていて、やがて大事な家族も得ます。

金持ちのポッターとは度々対立しながらも、なんとか事業を続けてきました。しかし、1945年のクリスマスイブに思わぬ事態でピンチに陥り、生きる望みを失ってしまう・・。

ジョージは、クリスマスというタイミングで、これまでの人生を振り返ることになります。

主人公ジョージの思い通りではない「人生」を描く

雪の結晶

たびたび、ジョージの人生には転機がやってきます。決定的だったのは、父親の急死でしょう。

はたして街に残るのか、出て行くのか・・・。ここでジョージの人生は大きく分かれたのです。

生きている間に、さまざまな転機がだれにでも起こります。ジョージは自分の希望を優先して、街を出て行くこともできたかもしれない。でも、それはできなかった。

なかなかお金にならないとわかっていても、自宅を持ちたい、という貧しい人のために貸付業をずっと行う。弟のほうが大学にも行けたし、華やかな人生にも思えます。金持ちになった友人もいます。

割に合わない人生、貧乏くじを引いたような人生、とどこかで屈折した思いを抱えているでしょう。

捨てることができなかった家業は、父親の意志や人生そのものでした。とても似ている父と子。金持ちのポッターと対立してでも、街の住民の暮らしを守っていたのです。

天使がみせてくれる「自分が存在しない」別の世界

並ぶキャンドル

ラストの30分くらいが、この映画のもっとも大切なシーンです。

大きなトラブルのせいですっかり絶望しているジョージに対して「もし自分が生まれて居なかったら、どうなっていたか?」という仮定の世界を、天使クラレンスが見せてくれます。

殺伐とした街の空気、すっかり変わってしまった人々の様子など、「ジョージがいない世界」をビジュアル化したことで、今まで見てきた「どこか不本意な人生」がもっていた価値に気がつくようになるのです。

不本意だと思っていた自分の人生が、実は隣人や愛する人たちの幸せを支えていたことに、そしてそうした人たちの幸せこそが、自分自身の幸せでもあったことに気づく。これこそが映画のカタルシスです。

ラストで、街や我が家にむかって喜びに満ちて全力で走っていくジョージ。あっけにとられる周りの人から見たら奇妙でしょうけど、観客はジョージの疾走感や満ち足りた気持ちをいっしょに味わうのです。

まとめ:人生を肯定できる映画

クリスマスの白いキャンドル

観終わったあと、つくづく幸せな主人公だな、と思えます。

ジョージは不器用で貧しく、自分の希望通りという人生では全くないけど、その愚直な態度がいつのまにか味方を増やしていた、という結果にじーんとくる映画です。

人間は、だれも生き直すことはできない。当たり前ですが、かつて選んだことの結果を背負っています。

人間は、損失を恐れる傾向を持っています。失ったものにばかり目を向けてしまいがちです。たしかに失敗や挫折、損失は後に響きます。後悔することもあります。

しかし、なにかを棄てたとき、同時に別のなにかを手に入れているものです。手に入れているものの価値に気がつくことで、やっと自分自身を肯定できるのです。

「素晴らしき哉、人生!」は自分自身の価値に迷っているときに見ると、力をもらえる作品です。

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