「カンフーパンダ」は2008年公開のドリームワークスのアニメーション映画です。(人気が出たのか、シリーズになっています)
「あんまり期待していなかったのに、見たらびっくり。面白い!!」といったレビューがけっこうあるんですね・・。
実際に見てみて、私も驚きました。約90分とコンパクトなつくりですが、エンターテインメント作品として、とても優れた仕上がりになっています。見て損はしない出来栄え!
- パンダや動物キャラが好き!
- カンフー映画が好き!
- アクションシーンを見たい!
という方におすすめのアニメ映画です。
監督:マーク・オズボーン/ジョン・スティーヴンソン
出演: ジャック・ブラック/ダスティン・ホフマン/アンジェリーナ・ジョリー
製作国:アメリカ合衆国
公開年:2008年
「カンフーパンダ」のあらすじ
主人公はカンフーが大好きだけど、実際にはカンフーをやったことがないパンダ・ポー。実家はラーメン屋を営んでおり、父親(なぜかガチョウ)からは跡取りと思われています。
ある日、憧れのカンフーの達人たちを見る機会があり、急いで会場に駆け付けたところ、実は自分こそが伝説の戦士であると指名されてしまう。本人も周りも半信半疑のなか、厳しい訓練が始まる・・・。
ストーリーは王道のヒーローもので、ごく平凡な主人公が、カンフーの世界では最高の戦士として選ばれ、最後には強大な敵と戦って勝つという展開です。
話自体はありふれたものなのに、90分全く退屈しないんですよ!
その原因は次のような点にあると思います。
- すべてのキャラの立て方が上手い!
- 演出がすごく細やか
- アクションシーンがすごく上手!見ていてハラハラする出来栄え
- 脚本がうまい!細かい伏線までしっかりと回収
つまり、見ごたえのある作品に必要な条件をしっかり満たしているうえに、とてもテンポが良いのです。無駄なシーンとかないので、ずっと楽しく見ることができます。
見どころ満載!ポーがヒーローになるプロセス
以下の4点が、「カンフーパンダ」の魅力だと思います。
- 太ったパンダにすぎなかったポー。カンフーの達人になるプロセスが面白い
- 伝説の巻物の中身と実家のラーメンスープの謎の意外なつながり
- シーフー老子の他の弟子たちからの嫉妬や対立!ポーはどうやって仲間になるのか?
- 悪役タイ・ランの牢屋からの脱走シーンは必見!アクションシーンがすごくかっこいい
最初は「本当にカンフーの戦士なの?」っていう雰囲気のポーですが、その成長ぶりに説得力があるので、見ている人が納得できる作品になっています。

もう少し詳しく見ていきましょう。
ポーがカンフーの達人になるプロセスが面白い
主人公がトレーニングを積んで強くなるのはヒーローものの定番ですが、食い意地のはったポーの場合、食べ物へのこだわりをシーンを利用して強くなるという訓練シーンになっています。
師匠と弟子が一個の肉まんを奪い合いながら戦うなど、見ていてばかばかしいけど、とても楽しい。
ポーというキャラの特徴をしっかり使ったプロセスになっています。
ポーの表情は、かわいいというよりも、なんとなく生身の人間に近い雰囲気を持っています。
大きな口を開けてもりもり食べているシーンなど、決して「かっこいいヒーロー像」ではないのですが、なんか妙に憎めない感じとか、印象的なキャラの造形です。
声を担当しているジャック・ブラックの表情やしぐさを思い浮かべながら見てしまいます。(作るときに参考にしているのかもしれないけど・・・・)
伝説の巻物の中身と実家のラーメンスープの謎
最強の戦士だけが見ていいとされる伝説の「龍の巻物」は、中を開けてみたら真っ白で、何も書かれていない。
ラーメン屋を営む父親が伝えようとした秘密のスープの材料は、実は何もない。
そう、これさえあれば解決する、といった便利なものは何もない。
「あるのは自分だけだ」とポーが言った通り、自らの力を頼りにしていくしかない、という真剣なテーマも含んでいて、なかなか味わいぶかいセリフになっています。
実家のラーメン屋の秘密のスープと、「龍の巻物」のつながり方など、小物の使い方もよく練られています。
ポーは仲間になれるのか?弟子たちとのチームワークに注目
太ったパンダにすぎないポーは、最初はカンフーの達人たちからは下に見られていて、なかなか存在を認めてもらえません。
特に冷たく当たるのが、タイガー。「私たちだって厳しい訓練を受けてきたのに・・・伝説の戦士がパンダとか、なんなの?」みたいな嫉妬やくやしさがないまぜになっていて、タイガーはなかなか深みのあるキャラになっています。
しかも、どんなに頑張っても、自分は老子の一番弟子にはなれないことが、タイガーには昔からわかっています。
老子はかつて息子のようにかわいがっていたタイ・ランが伝説の戦士ではなかったことや、タイ・ランの醜さを見抜けなかったことをずっと悔やんでいるのですから。
タイガーのポーに対する冷たい態度は、タイガーの立場になれば当たり前の反応で、一途な性格だからこそポーに厳しく当たってしまうんだろうと思います。
カンフーや老子のことが好きで厳しい稽古にも耐えてきたけど、自分は伝説の龍の戦士にはなれない、という現実を受け入れるにはちょっと時間がかかるのです。
ポーには厳しいタイガーですが、仲間同士の連携プレーは見事で、脱走してきたタイ・ランと吊り橋の上で戦うアクションシーンは、本作の見どころのひとつです。緩急をつけたキャラの動きがすごくかっこいい。
最終的にはタイガーもポーのことを認めてくれるのですが、それまでの葛藤があるから、最後にジーンとするのです。
声優を担当しているのが、かなり有名な俳優であることにも驚き。タイガーを演じているのはアンジェリーナジョリー。
そして師匠を演じているのが、ダスティン・ホフマン。どのキャラにもちゃんとあっているのがいい。
見ごたえあり!工夫満載のアクションシーン
さまざまなアクションシーンは本作の大きな魅力のひとつで、ワクワクする出来になっています。
たとえばタイ・ランの脱走シーンでは、タイ・ランが下から上に移動するシーンがすごく工夫されていて、かっこいい!
人数では圧倒的に不利なはずのタイ・ランですが、悠々と脱出することで強い悪役を印象付けるシーンとして、成功しています。
まとめ:コミカルさと真面目なテーマがマッチ!痛快なアクションアニメ
最初はみっともない印象の主人公が意外な形で成長し、やがてみんなから認めてもらえる立場になる。
なにをもってヒーローになるかはそれぞれですが、「カンフーパンダ」の場合、結局大切なのは秘伝の巻物ではなく、巻物を見るにふさわしい人物になることであった、という成長の中身もしっかり設定されていて、楽しく見つつ、ちょっとじーんとするストーリーになっています。
エンターテインメント作品としての必要な要素がしっかり入っているので、見ごたえのあるアニメ作品になっています。
動物キャラの造形も面白く、楽しいアクションアニメが見たいなら、おすすめです!
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