以前レビューした「グレイテスト・ショーマン」を見て、ヒュー・ジャックマンの出ているミュージカルをさらに見てみよう、とおもって選んだ作品が「レ・ミゼラブル」です。
「グレイテスト・ショーマン」のレビューは以下になります。
*いままでに何度か映像化されているので念のために書いておくと、今回のレビューは2012年のトム・フーパー監督作品です。
「レ・ミゼラブル」
監督:トム・フーパー
出演:ヒュー・ジャックマン/ラッセル・クロウ/アン・ハサウェイ/アマンダ・サイフリッド/エディ・レッドメイン
製作国:イギリス
公開年:2012年
臨場感たっぷり!ライブによるミュージカルの再現
原作の「レ・ミゼラブル」はフランスの文豪ヴィクトル・ユゴーの代表作です。
私にとっては、小学生のときに子供向けに翻訳された版を読んで以来、大好きな作品のひとつです。暗い面もある作品ですが、重厚な雰囲気が好きだったんだと思います。
今回は映画を見てみて、全体としての時代背景や空気感の出し方、心情の描写などに感心しました。
映画「レ・ミゼラブル」は、同名のミュージカルの映画化です。
セリフをふつうにしゃべっているシーンがほぼなくて、どのシーンも歌い上げています・・・。ミュージカルを堪能したい人には、とてもいい作品です。
メイキング映像で知ったのですが、驚いたことに、撮影時に歌いながら演技をしていたそうですね。ミュージカルの違和感を消し、臨場感をだすためらしいですが、ものすごいことです。
俳優の歌唱力も非常に高く、音楽とともに重厚な時代の描写を楽しむことができる作品です。
*印象的だった人物やシーンにしぼって3回にわけて記事をアップしてみます。
1回目は、ジャン・バルジャンの人生の根本を作った人物について。
ミリエル司教と銀の燭台
ミリエル司教は、ストーリーの最初と最後しか出てこないけど、ジャン・バルジャンの人生を支配した人物といっていいでしょう。
ジャン・バルジャンが銀食器を盗んだことを怒るどころか、「彼にあげたものだ」と言い切ってしまう。有名なシーンです。
誰からも信用されていなかったジャン・バルジャンはこの時点で、一度、人生の根本を揺さぶられる経験を得たのでしょう。
この経験が、のちにジャベール警部を殺さずに逃がすという行為につながっていると思うのです。
よく見ていると、ジャン・バルジャンの暮らしぶりを描いた画面の片隅には、銀の燭台が画面のかたすみにあります。
逃げるときにもちゃんと銀の燭台をかばんに詰めているシーンが出てくるなど、ずっと司教の存在がストーリーの中にちりばめられています。
ファンティーヌとの出会い
ファンティーヌはジャン・バルジャンの人生に大きな転換点を与えた人物になりました。
映画では、ファンティーヌは工場でいきなり解雇されてしまって、お金に困窮することになります。工場でもめているときに、市長であり経営者でもあるジャン・バルジャンに助けを求めたけど、助けてもらえなかった。
ジャン・バルジャンは最初は従業員たちが争っているのを止めようとしていたのですが、ジャベール警部の姿が見えた途端に、話を止めてしまったように見えます。これは、自分の身を守ることのほうを優先した風にも見えます。
ファンティーヌとしては当然、ジャン・バルジャンの対応を恨んでいるわけです。再会したときに、恨み言をいわれて、やっと自分にも責任があると気がつく。
ジャン・バルジャンにしてみると、じぶんの力が至らないせいでファンティーヌを窮地に追いやってしまった、という自責の念が生じ、一生にかかわる選択となったのでしょう。
アン・ハサウェイが演じるファンティーヌが一人で歌う「夢やぶれて」は切々とした歌声が悲しい曲です。ファンティーヌが出てくるシーンは多くはないけど、とても印象深い。
ファンティーヌはささやかな幸せを願っただけなのに、それはかなわず、子どもにも会えずに死んでいく。唯一の救いは、ジャン・バルジャンに娘を託せたこと。
ファンティーヌについては、ラストでもう一度出てきたのがいいですね。ジャン・バルジャンの最期を迎えに来ていたのですね。
まとめ:ジャン・バルジャンの人生の土台
このふたりは冒頭に出てきて、もっともストーリーを支配していたと思います。人生の土台というか、要になってくれた人たち。
ジャン・バルジャンの人生はとても不安定で、危ういものだけど、根幹ともいえる部分に位置している人たちです。


同じ映画「レ・ミゼラブル」の2回目・3回目のレビューです。
すでにたくさんの方に読んでいただけて嬉しいです!ありがとうございます!
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