「対訳サザエさん」日常のなかの「あるある」を英語で再読

風鈴 バイリンガルコミックス
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読書が苦手でも、漫画は誰でも楽しく読めます。漫画で学んだことは多いですよね。たとえば中国の歴史とか、複雑な経済問題も漫画なら、ぐいぐいと楽しみながら読むことができます。

漫画は、語学学習にも使えます。苦手な言葉も、好きな漫画や楽しい絵本なら抵抗なく読める、はず。

バイリンガルコミックスも楽しく読めて、英語の参考にもなるので、人気ですよね。

今回、私が手に取ったのは、昭和の日本を代表する漫画である『サザエさん』の英語版です。・・・懐かしい!!

英語で読んでも、十分に面白かったです。堅苦しくないので、ちょっとした息抜きにもなります。

The Wonderful World of Sazae-san

著者:長谷川町子

訳者:ジュールス・ヤング/ドミニック・ヤング

出版社:講談社インターナショナル株式会社

発行年:1997年

「対訳サザエさん」の特徴

駄菓子

内容はよく知られている4コマ漫画そのままなので、どこから読んでも面白く、ひとつひとつのエピソードが面白い漫画です。

吹き出しのなかは英語ですが、そのすぐ横にもともとのセリフが日本語で掲載されています。そのため、同じシーンを英語と日本語で同時に読むことができます。

日常の会話ばかりなので、こんなシーンでどういえばいいのか、という知識を増やしながら英語の会話を楽しむことができます。

サザエさんが描かれた時代には当然だったろう習慣や風習のなかには、今ではなくなっているものもあります。たとえば「配給」や「回覧板」などです。

作品の中に出てくる日本の風習や暮らしぶりのなかで、分かりづらいものには注釈が付いています。

「回覧板」 the local news board         P57
These boards are circulated among residents of a district to inform them of important announcements.

「てるてる坊主」 teruterubozu          p104
Before some long-anticipated outing,Japanese children make paper figures called teruterubozu to hang outdoors in order to ward off rain.

The Wonderful World of Sazae-san
長谷川町子/ジュールス・ヤング/ドミニック・ヤング/講談社インターナショナル株式会社/1997年

英語で短い文章による注釈が同じページの下に載っているので、スムーズに意味を理解しながら読むことができますよ。

「対訳サザエさん」の面白さ

西瓜と団扇

絵柄はなじみ深いサザエさんの絵柄であり、内容もおっちょこちょいで、憎めないキャラたちの日常の描写です。

久しぶりに改めて読んでみたら、日常生活のなかの小さな笑いや勘違い、聞き間違いなどが見事に描かれていて毎日の生活も、ちょっとした発見に満ちているんだと感じます。

「対訳サザエさん」の中身は4コマ漫画のままで、吹き出しのなかだけ英語になっています。

すぐ横の欄外に日本語のセリフがそのまま掲載されているので、英語と日本語の両方を楽しみながら、さらさらと漫画を読むことができます。

なじみのある漫画作品を、英語のセリフで読んでいくことで、違う言葉に置き換えたときの新鮮さを味わうことができます。

英語学習にはどう役立てるのか?

ちょっとした日常の会話の言い回しが参考になると思います。たとえば、こんなセリフを英語でどう言ったらいいのか、すぐにはわかりませんでした。

「いいとしをしておちつきがたりん」  P31
It’s about time you grew up!  

「おくさんにはかなわんワ」      P82
I’m no match for you,ma’am.

The Wonderful World of Sazae-san
長谷川町子/ジュールス・ヤング/ドミニック・ヤング/講談社インターナショナル株式会社/1997年

先に英語のセリフを読んでから、そのあとで日本語のセリフを見ると、表現の違いを味わうことができます。

自分ならどう表現するかな、と考えながら読むのもいいでしょう。

すぐには同じ表現が思い浮かばないとしても、考えることでその台詞の面白さがより分かると思います。

「サザエさん」が描いた昭和の日本

古い調理器具

サザエさんは1946年に誕生した作品です。

サザエさんの中に出てくる暮らしぶりは、戦後の日本では当たり前でしたが、今となってはもう日本人の間でも懐かしい雰囲気になりました。

すでに使わなくなった物や、すたれた風習もあります。サザエさん宅の家族構成自体が、すでに日本では珍しいタイプの家庭となりました。

作品のなかに出てくる笑いのポイントは、うっかりミス、聞き間違い、早とちり、思い込み、親切で行ったはずの行為がもたらすハプニング。だれにでもあることです。

生活のなかで起こるちょっとしたアクシデントを実に生き生きと描いています。

サザエさんの中に出てくる人物は、ごく普通の人たちであり、スーパーヒーローなど一人もいません。

現実の読者にも覚えのあるミスや失敗談、生活あるあるのエピソードに思わず笑ってしまうのです。

日常の中にある小さな笑いを見事に漫画にしているから、サザエさんは長らく人気を誇ってきたのでしょう。

私自身は単なる懐古趣味の作品はあんまり好きではないのですが、ある時代をいきいきと描いた漫画になっています。

すでに失われた時代を振り返る資料としても、「サザエさん」は貴重な作品ではないかな、と改めて思いました。

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