「フランケンウィニー」モノクロならではの楽しいホラー!

夜の木のイメージ アニメーション
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「フランケインウィニー」はティム・バートンによる自作のリメイク映画です。

愛犬スパーキーを失った少年ヴィクターは、科学の力でスパーキーを蘇らせるのですが、同じクラスの子供たちが真似していろんなペットを生き返らせたために、大騒動に発展。

モノクロの世界で展開される「フランケンウィニー」の魅力を考えてみます。ネタバレありなので、ご注意くださいね。

「フランケンウィニー」

監督:ティム・バートン

出演:チャーリー・ターハン/フランク・ウェルカー/ウィノナ・ライダー

公開年:2012年

製作国:アメリカ

モノクロの世界で展開されるホラーの世界

眼がぎょろっとしたちょっと怖いキャラの造形に、かなりのインパクトがあります。細い手足や、ギクシャクした指の動きなど大胆なディフォルメも大きな特徴です。

最初はちょっとグロテスクな雰囲気があるけど「フランケンウィニー」の世界のトーンには合っていて、見ている間に気にならなくなります。

むしろ、カラフルな色のある画面だと、かえって「フランケンウィニー」の世界を損なうかもしれません。生き物の生と死の境界をめぐる話なので、モノクロの画面がマッチしていると思います。

スパーキーの「生きている」っていう動き

「フランケンウィニー」の世界の要である愛犬スパーキー。その表情や動き、仕草はこの作品の大きな魅力となっています。

飼い主ヴィクターによって生き返る愛犬・スパーキーはブルテリアという犬ですね。白いボディに黒のブチがあってメリハリのある色味です。この点でもモノクロの世界が合っています。

生き返ったスパーキーはあちこちつぎはぎがあって、ハエが飛んでいるシーンもあるなど、リアルに考えるとちょっと怖い・・。

飲んだ水が胴体の継ぎ目から噴き出すなど、かなりの惨状なのですがアニメーションで愛らしい動きになっており、絶妙のディフォルメが施されています。

スパーキーの愛らしい動きは随所で楽しむことができます。たとえばヴィクターの一家の食事シーン。チーズフォンデュのスティックに刺さったお肉が気になって、テーブルの周りをうろうろするスパーキー。

こういった細かいシーンの積み重ねがとてもリアルで「生きている」っていう感じを生み出してくれるのだと思います。

ヴィクターの成長とは?

「フランケンウィニー」は交通事故で愛犬を失った少年の「もう一度スパーキーに会いたい」という気持ちから始まっています。

この気持ち、ペットをなくした悲しみを経験した人にはよくわかります。同時に、気にはなるのです。

この感情は、生きている人間の側のわがままではないの?という点。

私は昔、犬を飼っていて病気で亡くしたことがあるのです。ペットをなくしたあとは埋葬したり、小屋を片付けたりしていくことで、だんだんとペットの不在を受け入れていくプロセスを通過していきます。気持ちのうえで「ペットがいない」ことを受け入れていくまでにはもっと時間がかかります。

その受け入れる過程を思った時、この作品中のヴィクターの態度は、ただ死を受け入れられないようにも見えます。

そのため、この作品のテーマに少しひっかかりを感じる部分も無くはないのです。

ただ私の実体験に基づいていた考え方であって、ペットを飼ったことがない人など、べつの立場の人はまた別の受けとめかたをされるのかな、とも思います。

もちろんヴィクターがはじめからあっさりと愛犬の死を受け入れていたら話が成り立たないのですが・・・。

スパーキーは死んでしまうのか、それとも生き返るのか・・・?ラストを巡っては、人によって賛否が分かれるかもしれません。

私としては、大きな騒ぎを乗り越えた末に訪れるラストでスパーキーをちゃんと死なせてあげる方がすっきりしたラストにはなるとは思いました。

もちろん、ヴィクターの「もう戻ってこなくていいよ」というセリフに、「死」という出来事を
受け止めていく心の変化は見て取れるのですが。

でも全体として、とても楽しめる作品になっています。世界の作りこみといい、キャラの細やかな動きといい、仕込まれたパロディネタといい、ティム・バートンの世界を堪能できる1本です。

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