チャップリンの「街の灯」ラストにじわっとくる感動!

薔薇の一輪 ラブストーリー
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「街の灯」は1931年の映画で、チャップリンの代表作のひとつです。久しぶりに見て、やっぱりすごい映画だな、と思いました。

知名度が非常に高い作品なので、観た方も多いでしょうが、まだ観ていないっていう人はネタバレがあるのでご注意くださいね。

 

「街の灯」

監督:チャールズ・チャップリン

出演:チャールズ・チャップリン/ヴァージニア・チェリル/ハリー・マイヤーズ

製作国:アメリカ

公開年:1931年

「街の灯」のあらすじ

浮浪者チャーリーは、目の見えない花売りの娘に恋をする。娘は盲目のために、チャーリーが浮浪者であることには気づかず、お金持ちだと信じてしまう。

命を助けた富豪と一時的に仲良くなってお金を得たチャーリーは、花売りの娘を助け、目の手術を受けられるようになるまで世話を焼く。

目が見えるようになった花売りの娘はやがて、目の前の浮浪者チャーリーが、自分に親切にしてくれた客であったと気づく。

恋の相手である娘が、盲目であるがゆえにチャーリーの立場を勘違いしてしまう、という点にこの作品のポイントがあります。

いつかは正体がバレてしまう、という危うさをはらんだままストーリーが進むので、ドタバタとコミカルな作品なのに、観ている側は滑稽さを笑いながらも切なさを感じるのです。

「街の灯」の人物の関係

出てくるメインの人物は3人。それぞれに違う立場を代表しているつくりになっていて、その対比がとても強烈です。

チャップリン

おなじみのだぼだぼのズボンに、ステッキ、帽子、ぶらぶらと歩く浮浪者として登場。貧しい者、底辺にいるものの代表となっています。

盲目の娘が自分のことをお金持ちだと信じているので、本当はお金などないのに、金持ちを装うことになり、その苦労ぶりがコミカルに描かれていて、笑いを誘います。

とりわけボクシングで金を作ることになり、逃げ回りつつ戦うシーンが非常に面白い。

花売りの娘

ヴァージニア・チェリル演じる盲目の娘。憧れていた紳士が、じつは浮浪者だった、と気づいたときの表情がやはり印象的です。

最初は貧しいものとして登場するけれど、後には、その立場が大きく変わっていき、その中で主人公との距離や関係性も変わっていきます。

事実を知った瞬間に、その距離が決定的になってしまう、そんな悲しさを、観ていて感じるでしょう。

金持ちの男性

偶然、命を助けてもらったことでチャーリーを友人として扱うが、それは酒に酔っている間だけで、素面に戻ると、チャーリーのことなど忘れている。

酔っているときと、しらふのときで人格が違いすぎる・・・。しょせん金持ちと浮浪者は別の世界に住んでいる、とうことをコミカルに描いています。

そして金持ちの世界に入り込んだチャーリーという浮浪者を嘲笑することにもなっている。もちろん金持ちを代表しています。

ラストシーンの切なさ

「街の灯」はラストシーンがとても印象的で、名シーンとして知られています。

手術によって目が見えるようになって、花屋に勤めている娘は、前よりはずっといい暮らしになっているのでしょう。目の前にいるみすぼらしい浮浪者が自分を助けてくれた恩人とは全く思っていない。

哀れみから浮浪者に一輪の花とコインを渡そうとしたときに、かつて触れた手や袖の感触を思い出して、正体に気づく、というシーン。

ここで無駄にチャーリーが余計なセリフを言わずに、微笑んでいるから観客にじわっと感動が広がります。

浮浪者ゆえに、自ら娘に対して名乗りでることはできない切なさが、やはり多くの人の胸を打つのでしょう。

そして「目が見えるようになったこと=チャーリーの正体がバレる、現実を知る」という皮肉な構造になっていて、ちょっとやりきれない感じもするのです。

 

チャップリンの代表作「黄金狂時代」のレビューもよかったら、どうぞ。

チャップリン映画は滑稽でありながら、悲哀や哀愁を背負っている姿が印象的です。

 

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