「シュガー・ラッシュ:オンライン」年末ぎりぎりに見てきました。
今回の記事では前半で見どころ、面白かった点について、後半で見終わった後のレビューを書いておきます。
「シュガー・ラッシュ:オンライン」
監督:リッチ・ムーア
出演:ジョン・C・ライリー/サラ・シルバーマン
製作国:アメリカ合衆国
公開年:2018年
「シュガー・ラッシュ:オンライン」の見どころ
インターネットの世界のビジュアル化
本作の中では、ラルフとヴァネロペが、いつものゲームの世界から、より広大なインターネットの世界へ入りこみます。
世界中の人が行き来するあまりにも広い世界が、面白くビジュアル化されています。
ツイッターやグーグルなど、実在の企業のイメージをビジュアル化していて、観ていて楽しい世界を作っています。
また、ネット上でよく見るポップアップ広告や検索機能が、キャラ化されていて、人格のあるキャラになっている点も巧みで面白い。
観客にとってはすでになじみ深いネットの世界を、改めてアニメーションでビジュアル化しているのを見る楽しみがあります。
ふだん、自分たちが浸っているネットの世界を、ちょっと客観的に見られる楽しみです。
カーチェイスシーンの迫力
前作では、色とりどりのお菓子の世界を舞台に、激しいレースが展開されていました。今回はさらに過激なレースゲームで、カーレースを展開することになります。
カーチェイスシーンに迫力があって、前作同様にスリリングなカーレースを楽しむことができます。
カリスマレーサーのシャンクの存在感
前作ではカルホーン軍曹という女性キャラがいましたが、「シュガー・ラッシュ:オンライン」ではシャンクという女性レーサーが登場します。
一見クールで厳しそうなキャラですが、ヴァネロペの悩みを親身に聞いてくれるなど、けっこう面倒見のいいキャラです。
プリンセスとはまた違った魅力のある、かっこいい女性たちが出てくるのも「シュガー・ラッシュ」の特徴かもしれません。
数々の作品のパロディが盛りだくさん
ヴァネロペとディズニープリンセスたちが一堂に会するシーンは、前もって予告などで見て、知っている方が多いでしょう。
今までのディズニー作品はもちろん、人気ゲームキャラやスターウォーズのストームトルーパーまで、パロディやカメオ出演が盛りだくさんとなっています。
自分が知っているキャラや作品が登場するのを見つける楽しみがあります。
前作「シュガー・ラッシュ」との比較レビュー
全体としてとてもよくできているし、楽しく観られる作品です。ただ、前作の「シュガー・ラッシュ」のほうが出来がよかったかな、とも感じています。
前作「シュガー・ラッシュ」と比較しつつ、レビューしてみます。
ラルフのキャラがちょっと弱い
前作でヴァネロペという、最高の親友を手に入れたラルフ。今の生活に満足しているし、ヴァネロペのために必死になっている姿には、ラルフの心優しい面を感じさせます。
ただ、一度得た友達が自分から離れていくかも・・・という現実にぶち当たったときに、ラルフの感情が不安定になってしまいます。
自分のなかのエゴが出てきた瞬間だと思うのですが、このエゴとどう向き合うのか、が大きなテーマです。
ラルフというキャラは、力持ちのキャラなのですが、今回はその特徴をあんまり生かせていないかも・・と思いました。
カーレースはヴァネロペが活躍するシーンだし、スピードの勝負では出番がなさそう。今回ラルフがやることといえば、動画を投稿して人気者になって、お金を稼ぐという役割。
キャラとしては、ちょっと散漫になってしまった感があります。
最大の欠点は、最後のウイルスとの対決を、言葉(説教)で解決してしまったこと。
前作では、自分が悪役キャラであることを受け入れ、決死の行動でヴァネロペとシュガー・ラッシュの世界を助けようとする勇敢さがありました。だからこそ、その行動に感動したわけです。
今回は自分のなかのエゴや甘さと向き合い、「友情とはなにか」という難題を考えるのが大事なはずですが、台詞でウイルスに向かって考えを説明してしまっていました。
もうちょっとラルフのアクションで見せて欲しかったな。
ヴァネロペの悩みは前作のラルフと同じでは?
前作では自らの立場に納得いかず、悩むラルフが主人公でした。前作では、ゲーム世界のなかではたとえ悪役であっても、気持ちの通じる友達を得たラルフ。
今回は、ヴァネロペがいつも同じことの繰り返しになっている「シュガー・ラッシュ」の世界に疑問を持って、自分の居場所に悩むことから始まります。
ヴァネロペの持っている悩みは、前回のラルフの悩みと被っているのではないかな、と思います。
冒頭で「今のままではつまらない」とヴァネロペに言わせないほうが良かったかもしれません。
たとえばですが、ヴァネロペがラルフに気を遣い、表面上は不自由のない生活に文句がないようにふるまいながらも、いつしかラルフとヴァネロペの気持ちがずれていく、という友情の部分に焦点絞った方がよかったのかな・・・と思います。
全体的に前作「シュガー・ラッシュ」と被っている感がつよい
キャラの配置とか、抱えている問題が、全体的に前作「シュガー・ラッシュ」と被っている感じが強めです。
先に指摘した、ヴァネロペの悩み以外にも
- クールな女性キャラ(カルホーン軍曹⇒シャンク)
- レースシーンの存在
- ゲーム世界を破壊しようとする仕掛け(サイバグ⇒ウイルス)
といった感じで、ちょっと既視感が強めかな。
残念ですが、前作「シュガー・ラッシュ」を超えるほどのインパクトはない、と感じました。
まとめ:友達という難問を超えて
全体としては楽しい仕掛けがいっぱいの見ごたえのある映画になっています。
ずっと一緒にいるから友達なのか、それとも離れていてもお互いを尊敬できるから友達なのか、という難問を超えて、ラルフとヴァネロペには、それぞれの居場所があります。
友達を続けていくための距離感って難しい・・・・。ちょっとしんみりしつつ見終わったのでした。
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