「アラバマ物語」子供の眼を通して描いたアメリカの暗さ

眼鏡と新聞ドラマ
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映画史において、長い人気を持っているのが、「アラバマ物語」の主人公アティカス・フィンチ弁護士です。「アラバマ物語」は、ハーパー・リーのベストセラー小説を映像化した作品です。

私は、はるか昔に本作を見た記憶があります。もう何年もたっていて、ラスト近くのシーンしか覚えていないけど、けっこう強烈な内容だったな、と思いながら久しぶりに見てみました。

今見ても、とても見ごたえのある作品ですよ。

ネタバレ有りなので、まだ見ていない人はご注意ください。

「アラバマ物語」

監督:ロバート・マリガン

出演: グレゴリー・ペック/メアリー・バダム/フィリップ・アルフォード/ジョン・メグナ

公開年:1962年

製作国:アメリカ合衆国

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「アラバマ物語」の視点について

アンティークな時計

舞台は1930年代、アラバマ州の田舎町。フィンチ弁護士とその二人の子供の一家が暮らしていました。おてんば娘のスカウトと、兄のジェム。そして友人のディルも加わる。

ある日フィンチ弁護士は、白人女性を暴行した容疑で起訴されたトム・ロビンソンの弁護をやってほしい、という依頼を引き受ける。

だが、黒人への差別が強い土地では、弁護を引き受けたフィンチ一家もまた中傷にさらされる。ついに裁判の日を迎え、子供たちも見ているなか、裁判が開始される、というあらすじです。

「アラバマ物語」は主人公アティカス・フィンチの娘であるスカウトの回想として始まります。この視点の設定はとてもいい、と思います。

まだ大人社会のややこしさを理解はできないけど、関わらざるを得ない環境にいる子供の視点を作ることで、より問題点をクリアにしています。

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「アラバマ物語」の見どころ

本作の見どころとして印象的なシーンは以下の3つだと思います。

裁判の前日の夜のシーン

明日からいよいよ裁判、というときにトム・ロビンソンが収容されている牢の前に、裁判を快く思わない白人たちが武器をもってやってきます。

裁判よりも報復を優先させようとする大人たちの前に、割って入っていくジェムやスカウトたち。

子供に素朴なことを問われて、思わず目をそらす大人の姿。スカウトの会話の内容はごく素朴なのに、だからこそ大人はすぐには答えられない、その悲しさがあります。

トム・ロビンソンの裁判シーン

主人公アティカス・フィンチによる弁護シーンももちろん、見どころの一つです。ひとつひとつ、丁寧に問いただしていく姿が、印象に残ります。

果たして本当にトム・ロビンソンは白人女性に暴力をふるったのかどうか、本当のところは何があったのか・・・。見ている側も、本当にその場にいるような息苦しさすら感じます。

裁判を見守っている町の人たちの表情も含めて、緊迫感のあるシーンとなっています。

隣人ブーが姿を見せるシーン

裁判が済んで数ヶ月、ハロウィンパーティーの帰りに子供たちが巻き込まれる騒動。その窮地を助けてくれたのが、近所に住んでいながら長く姿を見ない「ブー」と呼ばれる人物でした。

実は、ブーは控えめながら、ずっとスカウトやジェムを見守っていた人物です。

子供を助けるために暴力を使ったブーを、果たして裁判にかけるべきかどうなのか・・・。結果はどうなるのか・・・。迷うアティカス・フィンチと娘のスカウトの会話が印象的です。

ブーという人物について焦点を当てた記事もあるので、合わせてお読みください。

原題「To Kill a Mockingbird」の意味とは?

新聞とペン

「アラバマ物語」の原題は、「To Kill a Mockingbird」となっています。日本語にすると「マネシツグミを殺すこと」になりそうですが。

案外、関係のなさそうなシーンに大事なヒントが入っているものです。映画の途中で、クラスメイトの少年をフィンチ家での夕食に招くシーンがあります。

そのときに狩猟の話になり、父親のアティカスが子供たちに言う「マネシツグミを殺してはいけないよ」というセリフが本作のテーマのヒントになっています。

本作をずっと見ていくと「善良なものを社会の圧力にさらすこと=マネシツグミを殺すこと」その罪深さを考えざるを得なくなります。

努力をしても必ずしも正義が通るとは限らない世界のなかで、どう折り合いをつけるのか、見ているものにも、問いとして迫ってきます。

まとめ:見終わったあとにオープニングを見るべし

最後まで見た時に、改めて冒頭のオープニングを見てみました。時計や人形、そしてクレヨンで描かれた鳥。実はオープニングですでにテーマを示しているのです。

人間の良心や正義とは何かなど、重い問いをはらんだ作品ですが、じんわりと余韻に浸れる作品でもあります。

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