映画「チャーリーとチョコレート工場」ティム・バートンならではのアレンジを楽しむ!

並べられた卵 ドラマ
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「チャーリーとチョコレート工場」は、ロアルド・ダールの「チョコレート工場の秘密」を再映画化した作品です。

全体的にティム・バートン監督ならではの色彩やデザイン、皮肉が効いていて、面白い出来になっています。

ロアルド・ダールの原作や、1971年の「夢のチョコレート工場」との違いを比較しながら、レビューしてみます。

ネタバレ有りなので、まだ見ていない人はご注意ください。

*1971年に映画化した「夢のチョコレート工場」のレビューもどうぞ。

「チャーリーとチョコレート工場」

監督:ティム・バートン

出演:ジョニー・デップ/フレディ・ハイモア/デイビッド・ケリー

製作国:アメリカ合衆国

公開年:2005年

原作小説との大きな違い:ウィリー・ウォンカと父親の関係

箱入りのチョコレート

「チャーリーとチョコレート工場」は、全体的に原作に近い映像化ですが、大きな変更点もあります。

ウィリー・ウォンカの少年時代の描写があり、さらに歯科医であった父親との対立が描かれている点は、本作の大きな特徴です。

歯科医であった父親にしてみれば「お菓子は虫歯のもと」であり、憎むべき対象でした。当然、息子であるウィリーがショコラティエになることに反対したのでした。

家を出て行くウィリー少年。それ以来、ろくに会っていない親子になっただろうことは容易に想像できます。

本作でのウィリー・ウォンカは、話しているときに「ご両親」といった単語が言えない、昔の記憶がフラッシュバックしてよみがえる、といった特徴があります。

ふだんは子供っぽい面をもち、菓子作りに夢中になっている人物ですが、たまに過去の記憶にさいなまされるシーンが挟まれています。

ちょっと子供じみているけど、実はトラウマを抱えている人物という造形になっている点が、「チャーリーとチョコレート工場」に出てくるウィリー・ウォンカのキャラです。

原作にはないけど、ウィリー・ウォンカという人物の内面のちょっと暗い面や過去を描いたことで奥行きが出たと思います。

「夢のチョコレート工場」との違い:チャーリーの父親の登場

グミキャンディ

1971年「夢のチョコレート工場」の時点では、原作からの映像化が難しかったシーンもいくつかありました。

本作製作の2005年には、CGの使用などでより多彩な表現が可能となり、エレベーターで工場の設備をめぐるスペクタクルシーンなどを実現させています。

工場内のたくさんのリスも、前作では昔の技術で演技させるのは無理だったようで、卵を産むガチョウに変更されていましたが、今回は愛らしいリスがくるくると動き回ります。

チャーリーの父親は「夢のチョコレート工場」ではいない設定になっていました。しかし「チャーリーとチョコレート工場」では原作通り、父親も出てきます。

チャーリーの父親は、ごく平凡なひとで、工場の従業員です。がんばっているけど、一家は貧しいままです。

「チャーリーとチョコレート工場」では、ウィリー・ウォンカの父親という新しいキャラを出したので、それと対比させる意味もあって、チャーリーの父親を原作通り、出したのではないでしょうか。

「夢のチョコレート工場」のなかではライバル会社のワルタという人物が登場し、「ウォンカの工場からお菓子を盗んできてほしい」と子供たちをそそのかします。これはこれで、子供たちの性格の違いを浮きぼりにして、ラストで生きてくるしかけになっていました。

「チャーリーとチョコレート工場」では家族の描き方に注目!

手の中のハート
「チャーリーとチョコレート工場」では、ウィリー・ウォンカは「チャーリーは工場を継いでくれる。成功には家族などいらないだろう」と決めつけていました。

しかしチャーリーが拒んだことで、そんな子供っぽい部分を否定されてしまいます。断わるってけっこう勇気がいることです。

貧しいながらも「家族」というグループにいる実感の強かったチャーリーの考えが、はっきりと出ているシーンです。

「夢のチョコレート工場」ではワルタの誘いに乗るかどうか、が大きなポイントになっていましたが、「チャーリーとチョコレート工場」では、家族をどう扱うのか、が主人公としての立場の鍵になっています。

チャーリーに断られ、いったんは引き下がるものの、再び街に姿を見せるウォンカ。

結局はチャーリーという後継者を諦められなかったのか、家族を捨てなかったチャーリーに言いたいことでもあったのか。

その後、長年会っていなかった父親に会いに行くという一大決心をします。再会のシーンは本作のオリジナルですが、心温まるシーンになっています。

まとめ:ウォンカとチャーリーのパートナーシップが微笑ましい

ウィリー・ウォンカの人物の造形が、本作の大きなポイントでした。

ジョニー・デップが演じることで、ウィリー・ウォンカの「ちょっと子供っぽい面もある、いたずら好きのエキセントリックな職人」というかなりクセの強いキャラが立っています。

(ティム・バートン監督作なので、ジョニー・デップが出演するのは、もはや定番なのですが・・・。)

チャーリーは(ウォンカのクセが強いせいもあって、平凡に見えますが・・・)心優しい主人公という役割を果たしています。

ウィリー・ウォンカが父親との再会を果たすシーンを見届けるなど、クセの強いウォンカの意外な一面に立ちあうことになります。

これからチャーリーが工場のパートナーになることを考えると、ウォンカという人物の内面に触れたことで、今後の関係を築きやすくなったと思います。

本作のアレンジによって、その後の物語に安心してエンディングをみとどけることができる、と思いました。

原作を読んでから、あらためて比較レビューを書いてみました。よかったらご覧ください。

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